執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
雫に交際を迫る図書館利用者、そして大槻からの連絡。雫の頭を悩ませることばかりが次から次に起きている。
今、雫ができるのは、警戒することだけだろう。
とにかく気をつけてね、と母に何度も言われ続けた翌日。雫がいつものように仕事をしていると、急に雨が降り出した。
かなり強く降っているようで、外に出していた立てかけ黒板が濡れてしまいそうだ。
一度館内に入れ込んだ方がいいと判断した雫は、慌てて正面玄関から飛び出した。
雨に濡れながら案内板を持ち上げ、館内へと入れる。
腰を屈めて黒板を見ると、やはり雨で消えてしまった箇所があった。
このあと、すぐに休憩に入ることになっている。休憩から戻ってきたらチョークで書き直さなくちゃな、と思っていると背後から声をかけられた。男性の声だ。
雫に交際を申し込んでくる図書館利用者の男性かもしれない。
そう思って身構えて振り返ったのだが、いつもの男性ではなく五十代ぐらいの男性だった。
何か困り事だろうか。そんなふうに思ったのだが、すぐに脳裏に母の言葉が過る。
年齢からして大槻と同じぐらいの年代だ。