執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
彼の気持ちが痛いほど伝わってくるからこそ、申し訳なさが込み上げてくる。
幹太はもう一度息を深く吐き出しながら立ち上がると、雫の隣に腰を下ろしてきた。
「大体のことは晶子から聞いた」
「はい」
「雫が断ったのに未だにその男は雫を口説いてきていて、諦めていないんだな?」
幹太は淡々とした口調で聞いてくる。きっと感情のまま聞くのはダメだと自身の気持ちを抑えているからだろう。
ますます申し訳なくなり神妙な顔つきになって頷くと、幹太は雫の顔を覗き込んできた。
「で? さっきの男は何者だ? 雫の知り合いか?」
黙り込む雫を見つめながら、彼は質問を重ねていく。
「どうも雰囲気が怪しかった。あの男もまた雫を狙っているのか……?」
不思議がるのは当然だろう。どう見ても図書館の利用客が司書に声をかけたという雰囲気ではなかったからだ。
結局あの男性は名乗ることもなく、用件も言わずに去っていってしまった。
まだ疑惑の段階だ。だが、きちんと幹太には話しておいた方がいいかもしれない。
何も話さずにいたら、ますます幹太は心配してしまうはず。