執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
その後ろ姿を見送っていたのだが、佐合と呼ばれた女性はその場に立ち止まったままだ。
どうしたのだろうと不思議に思っていると、佐合の視線を全身に感じる。
彼女の顔は迷惑そうにしていて、値踏みするような視線を雫に向けてきた。
それを感じて、どうしても萎縮してしまう。
雨音だけが響く、図書館の正面玄関前。彼女は雫に非難めいた視線を向けてきた。
「私、永江さんの第二秘書をしています、佐合真亜子と言います。貴女、永江さんの恋人だそうですね」
鋭利のように尖った声。それを雫にぶつけてくる。
固唾を呑んでただ真亜子に向き合っていると、彼女は呆れた様子で苦言を呈してきた。
「永江さんは、とても忙しいのです。そんなことぐらい、彼の傍にいる貴女なら知っていることでしょう?」
何も言えずにただ立ち尽くしている雫に、彼女は呆れた様子で口を開く。
「彼に迷惑をかけるような行為は控えた方がいいのでは? 足を引っ張る恋人なんて、誰も欲しくはないでしょう」
反論できず唇を噛みしめる。彼女が言っていることは、すべて正論だ。
ソッと視線をそらすと、彼女は「では、失礼します」とだけ言って去って行く。