執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~


 それが幹太たちの見解だった。

「雫が人気作家だという情報をどこかで手に入れたから近づいてきたんだろう」

 そんなふうに幹太は言っていたが、それは多分違うのではないかと思っている。

 確かにきっかけはそうだったとしても、大槻の狙いは幹太だろう。
 大槻は雫が大企業をいずれ継ぐ男性と付き合っているということを耳に入れ、雫経由で幹太に金の無心をしようと考えているのではないか。その方が、しっくりとくる。

 このまま幹太と一緒にいれば、彼はもちろんのこと、彼の家族、親戚にも迷惑がかかってしまうかもしれない。そう思うと怖くなってくる。

 仕事が終わり、身支度を済ませて図書館を出る。すると、駐車場に見慣れた車が止まっているのが見えた。幹太だ。

 彼は車に寄りかかり、スマホを見ていた。その姿がとても格好よくて、思わず見惚れてしまう。

「あら、今日は彼氏がお迎えに来ているのね。じゃあ、私たちは駅に向かうわ」

 一人で行動してはいけない。幹太にそう言われていたので、大槻が接触してきた日から必ず同僚の誰かと一緒に駅へと向かうようにしている。
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