執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
だが、こうして幹太が迎えに来てくれることもあり、それを知っている同僚たちは「また明日ね」と言いながら去っていく。
彼女らに「お疲れ様でした」と声をかけたあと、まだ雫の存在に気がついていない幹太のところへと向かう。
「幹太くん」
声をかけると、彼は顔を上げる。雫の姿を見た瞬間、嬉しそうにほほ笑んでくれた。
その笑みは独り占めしたくなるほど魅力的だ。
幹太と出会ってから二十年以上が過ぎたが、何度こうしてときめいたかわからない。
彼はジャケットのポケットにスマホを入れ込むと、助手席のドアを開いてくれた。
「お疲れ様、雫。ほら、乗って」
「ありがとう、幹太くん」
助手席に乗り込んだ雫を見てドアを閉めたあと、彼は運転席に乗り込んだ。
「さぁ、帰ろうか」
エンジンをかけて車を発進させると、夜の街を走り出す。ハンドルを握る彼は、運転をしながら雫に声をかけてくる。
「昼間に敏美さんから連絡があった」
「お母さんから?」
「ああ、一緒に夕ご飯でもどうかって誘ってもらったんだけどな。まだこれから会社に戻らなくちゃいけなくて……お断りした。本当は敏美さんのご飯、食べたかったんだけどなぁ」