執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
幹太は「今晩は唐揚げだって。敏美さんの唐揚げ、美味いんだよなぁ」と残念そうに呟く。
そう言う彼の横顔を見て、思わず顔を顰めてしまう。どこか疲れの色が見え隠れしているように見えたからだ。
彼が元々仕事で忙しくしているのは知っている。
それなのに、ここ最近はなんとか時間を調整して雫の送り迎えまでしてくれているのだ。疲労が溜まってしまっているのだろう。
「ねぇ、幹太くん。私たちのこと、心配してくれるのは嬉しいよ。だけど、無理はしてほしくないの」
信号が赤になったタイミングで声をかけると、幹太はチラリとこちらを向いてほほ笑んできた。
「大丈夫。無理なんてしてないぞ?」
「……嘘だ」
疑いの目を向けると、彼は肩を竦めて苦笑いをする。
「本当。考えてみろよ、雫。毎日は送り迎えしていないだろう?」
「そう、だけど」
言葉を濁す雫に対し、幹太は「そうだろう?」と言わんばかりの視線を送ってくる。
黙りこくっていると、信号は青に変わった。幹太は前方を確認してアクセルを踏み、車はゆっくりと加速していく。
大丈夫だと彼は言うけれど、端から見て大丈夫に見えないから言っているのに。