執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
 

 むくれて声を上げたのだが、彼はどこ吹く風だ。それどころか、なぜだか嬉しそうに頬を綻ばせている。

「俺としては雫に心配してもらえて嬉しい」

 ニコニコと笑う彼を見て、力が抜けてしまった。こんなふうに言っている彼に雫が何を言っても無駄だろう。
 ガックリと項垂れていると、幹太は前を向いたまま雫に声をかけてくる。

「大槻が大人しくなれば、いつも通りの生活が送れるようになるから」
「幹太くん……」
「向こうは恐らく俺が探りを入れたことで警戒している。弁護士である父さんが睨みを利かせているというのも大きいはずだ」

 確かにピタリと大槻からのコンタクトがなくなった。それは幹太たちのおかげだろう。
 彼の考えに同意すると、彼もまた深く頷く。

「彼が諦めれば、雫たちに危害が及ぶリスクが減るはず。きっとそれはもうすぐだ。だから、もう少しだけ雫と敏美さんを守らせてほしい。心配性の俺が安心できるまでは続けさせてくれ」

 そんなふうに言われてしまったら、何も言えなくなってしまう。

「うん、わかった。もう少しだけ甘えさせてください」
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