執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
 

 車が見えなくなるまでそこで立ち尽くしたまま、雫は自分の頬を両手で冷やす。

「幹太くんったら……」

 あんなことを言われたら、ますます身体が火照ってしまう。
 挙動不審になりながらも、幹太の言いつけ通り早急にエレベーターに乗り込んだ。

 エレベーター内は雫一人だけだった。壁に寄りかかりながら、小さく息を吐き出す。

 幹太にうまくはぐらかされてしまったことに気がついたからだ。
 幹太に迷惑をかけたくない。そんなふうに雫が思い詰めていることを悟った彼は、これ以上遠慮しないようにと思考を違う方へと向くように仕掛けてきた。

 それが先程のキスということなのだろう。まんまと彼の策略に嵌まってしまったことを悔やみながら、やはり思考は幹太の身体の心配へと向く。

 このまま大槻が雫に会うことを諦めてくれればいい。そうすれば、これ以上幹太に迷惑をかけずに済むだろう。だけど……。
 不安な気持ちを打ち消すように呟く。

「きっと諦めてくれたよね……」

 そもそも大槻が雫に会ったからといって、お金の用立てなんてできるはずがない。
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