執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
 

 その辺りのことを、大槻はわかっていないのだ。だからこそ、雫に会おうなどという考えに及んだのだろうけれど……。
 雫にしてみたら理解ができない。

 普通に考えれば、大槻は母に対して恨まれて当然ということをしたのだ。
 それなのに、その娘が大槻を実の父だと認めて許すとでも思っているのか。

「思っているってことだよね……」

 深く息をついていると、自宅がある階へと到着した。

 重い足取りでエレベーターを下りながら、これ以上何も起こらないことを祈ったのだが……。
 数日後、その考えが安直だったのだと痛感することになった。

 仕事が終わり、更衣室へと行くとまずスマホを確認する。ここ最近のルーティーンの一つだ。

 幹太が迎えに来るときはその旨がメッセージであるが、来ることができないときは何もメッセージがない。
 後者のとき、メッセージを送信するほんの少しの時間さえも捻出できないからなのだろう。

 彼はそれを否定するが、きっと雫の考えは間違っていないはずだ。
 メッセージを確認したが、今日は何も送られてきていない。きっと目が回るような忙しさなのだろう。
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