執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
とても焦っている様子の彼女が心配になって声をかけようとした。しかし、晶子の声でかき消される。
『さっき、お父さんと電話で話したときに聞いたんだけどね。幹太くん、仕事中に倒れたみたいなの』
「え……?」
辺りは人がごった返している駅構内。だが、一瞬にして雫の耳は何も聞こえなくなる。
『雫! 大丈夫!?』
晶子の焦っている声が聞こえて、ようやく我に返った。
「う、うん。大丈夫……」
そう言いながらも、全然大丈夫ではなくて頭が真っ白になる。
――幹太くんが倒れた……?
ここ最近、彼の顔色が優れず心配していたが、恐れていた事態が起きてしまったようだ。
彼にきちんと休んでほしくて、何度もお願いした。だが、彼は雫のことを優先して、自分の体調を顧みなかったのだろう。
もっと強くお願いするべきだった。彼の異変には気がついていたのに、防げなかったことが悔やまれる。
しかし、今は後悔をしている場合ではない。それはあとでいくらでもできる。
とにかく幹太の容態が気がかりだ。ギュッと唇を強く噛みしめながら、晶子の話に耳を傾ける。