執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~


 お互い仕事が忙しく、なかなか会えないのはいつものこと。だからこそ、久しぶりに会えるこの時間を目一杯楽しみたい。

「雫!」

 ハッとして顔を上げると、駅の改札方面から小走りでやって来る幹太が見えた。

百八七センチの高身長、体型はスラリとして線が細く見えがちだが、実は脱ぐと筋肉質で雄々しい体躯だ。
 男らしく正義感があり、誰もが恋をしてしまうのではないかと思うほどの甘いマスク。そんな彼はいつも人の輪の中心にいて、雫にしてみたら近寄りがたい存在でもある。

 だが、そんな彼が雫にだけ蕩けてしまいそうなほど甘くほほ笑んでくれることを知っていた。
 だからこそ、彼の彼女として少しだけ胸を張って隣に立てていられるのだろう。

 ヒラヒラと手を振って喜びを表すと、幹太は嬉しそうに雫の前に立つ。

「お待たせ、雫。暑い中、こんな場所に立たせっぱなしでごめんな」

 店内で待ち合わせるべきだったか、とブツブツと言いながら考え込んでいる彼を見て、相変わらずの心配性だなとほほ笑ましく見つめてしまう。

「大丈夫だよ、幹太くん。でも、今日は特別暑いね」
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