執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
 

 あとで幹太に苦言を呈したら「水埜さん、めちゃくちゃモテるんだよな。雫が心変わりしたら困るから、これ以上は会わせない」などと嘘か本当かわからないことを言っていた。

 結局本当の理由は教えてくれなかったことを思い出しながら、足早にマンション内へと入ってエレベーターへと乗り込む。

 晶子の話では幹太には真亜子が付き添ったと聞いていたのだが、どうやら水埜だったようだ。
 それがわかり、心底安堵した。

 エレベーターを下りて幹太の部屋の前に立ち、インターホンのチャイムを押す。
 すると、待ち構えていたように水埜が出迎えてくれた。

「急に来てしまってスミマセン」

 会釈をすると、彼もまた頭を下げてきた。

「いえ、雫さんが来てくださって助かりました。幹太さんを一人にしておくのは忍びないなぁと思っていたので」

 朗らかに笑ったあと、水埜はスーツの内ポケットから名刺を取り出して雫に差し出してくる。

「幹太さんの第一秘書をしております、水埜と言います。こうしてきちんと挨拶させていただくのは初めてですね」
「そうですね」

 差し出された名刺をいただきながら、彼に同意する。
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