執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~


「ありがとう。とりあえず急ぎの仕事はこれで終わりかな?」
「はい。大丈夫だと思います」

 真亜子は颯爽と立ち上がると、片付けをし始める。雫の存在には気がついているだろうが、敢えて無視をしているようにも見えた。

 彼女に複雑な気持ちを抱いていると、水埜は真亜子との会話を終え雫にほほ笑みかけた。

「じゃあ、私たちはこれで。あとは雫さんにお任せすればいいですよね?」

 慌てて頷くと、彼は真亜子を促して部屋を出て行く。玄関まで見送ると、ちょうど水埜のスマホに電話がかかってきた。

「車に資料があるんだった! 佐合さん、先に行っているから」

 水埜はそう言い残すと、足早に玄関ドアを開いて外に出て行ってしまう。
 残された真亜子は怒りの感情を隠しもせず、雫を厳しい目で見つめてきた。

「私、貴女に忠告したはずですよね? 足を引っ張る恋人なんて彼には必要はないと」

 彼女の言う通りだろう。今回幹太が倒れたのは、雫が原因でもある。

 元々忙しい幹太が時間をなんとか捻出し、雫と母に心を砕いてくれていた。
 そのことで雫たちは大槻に怯えることなく、いつも通りの生活を送れたのは確かだ。
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