執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
だが、彼女の次の言葉でその反論を呑み込む。
「永江さんは優しいから、貴女に同情しただけなのよ。父親に認知されない、いらない子だった貴女に救いの手を差し伸べただけ。慈愛の心よね。でも、そろそろ彼を解放してあげたら?」
落とされていく。そんな感覚が身体と心に襲いかかってくる。
息さえもまともにできなくなってしまった。
息苦しい。それは物理的にか、それとも感覚か。
辺りが真っ暗になるほどの絶望感を抱いている雫に、真亜子は最後のとどめを仕掛けてくる。
「やっぱり血は争えないのかしら。父子して人の足を引っ張るのがお上手だもの。特に貴女の父親なんてまさに天性のものかもしれないわね。まぁ、その恩恵を受けている人間もいるんでしょうけど」
幹太の第二秘書をしているぐらいだ。真亜子は何もかもを知っているのだろう。
大槻が金の工面をしようと雫に近づこうとしていたことも、その大槻が雫を足がかりにして幹太に近づこうとしていることも。
幹太の足を引っ張る父子は近づくべきではない。真亜子はその事実を雫に叩きつけてきただけだ。