執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
 

 あんなふうに甘えてくる幹太は珍しい。疲れているからこそ、素直な自分を曝け出したのだろうか。

 あの様子を見る限り、幹太は夢うつつで雫と話したことを覚えていないかもしれない。
 繋いでいた手をソッと外し、再び彼の寝顔を見つめる。その顔には未だに疲れの色が見え隠れしていた。

 真亜子の言葉が今も脳裏に渦巻いている。
 彼女の言った通り、彼の足を引っ張るような恋人なんて身を退いた方がいいのかもしれない。

 そう思う一方、幹太を愛している自分はやっぱり離れられないとも思う。
 二つの相反する感情がせめぎ合い、息苦しくなって彼の傍から離れた。

 母に電話をして、幹太の看病をするために彼のマンションに泊まる旨を伝える。

 やはり母も雫と同じ事を考えたようだ。井熊家の問題に幹太を引き込んでしまったことを酷く後悔している様子だ。
 今後のことは二人で考えようと約束をして、通話を切る。

 キッチンへと行き、冷蔵庫を開く。幹太は時間があるときには自炊を心がけているため、ある程度の食材はありそうだ。
 消化がいいスープ、おかゆなどを作っておこう。そうすれば起きたときに、何か口に入れられるだろう。
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