執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
雫は食材を取り出し、音を立てないように注意しながらまな板で食材を切って鍋へと入れる。
水を入れて火にかけると、しばらくしてぐつぐつと沸騰し始めた。
その様子をボーッと見つめていると、先程までは我慢していた涙が零れ落ちていく。
我慢できなくなって嗚咽が漏れそうになる。だが、唇を噛みしめて必死に泣き声が出るのを抑えた。
今はとにかく幹太が元気になれるよう、雫はサポートするだけだ。そう自分に言い聞かせながら、手を動かすことだけに意識を向ける。
時折幹太の様子を見に行きながら、家事を済ませていく。
よほど身体が休息を求めているのだろう。夜中に何度も彼の様子を窺ったが、目を覚ますことは一度もなく、ぐっすりと眠っているようだった。
朝方になると、昨夜まで辛そうだった呼吸がとても穏やかになっていた。
起こさないよう慎重になりながら額に手を当てて確認したが、熱は下がった様子だ。
良かった、と胸を撫で下ろして立ち上がった瞬間、フラリと身体が蹌踉けてしまい立ち上がれなくなってしまった。
立ちくらみがしてしまったのか。少しの間しゃがみ込んでいたら、それも落ち着いた。