執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
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九月中旬。残暑が厳しく、なかなか夕方になっても気温が下がってくれない。
すでに日は落ちて辺りは薄暗くなっているのに、熱が身体に纏わり付いてくるように感じる。
仕事が終わり、自宅最寄り駅に辿り着いた。
ここから歩いて十分のところに自宅マンションがある。そこまでの道のりは街灯も多く、人の通りも多い。
万が一、大槻に会って危険を感じたとしても、誰かに助けを求めることはできるはずだ。
そんなふうに自分を鼓舞しながら、岐路を急ぐ。
あれから特に大槻からのアクションはない。母に電話をかけてきた形跡もなさそうだ。
幹太と彼の父親である弁護士の央太のおかげで、大槻にけん制ができたということなのだろう。
このまま大槻が諦めてくれれば、問題はない。だが、用心すると幹太に約束をしたのだ。
警戒しなければならないだろう。
幹太が倒れてしまってから、三日が経過。
その後、幹太は順調に回復したらしく『今日から仕事復帰した』と今朝方メッセージで知らせてくれた。
それを見てようやく安堵したが、やはり罪悪感は消えてはくれない。
幹太の看病をして帰った日。昼前ぐらいに彼から電話があった。
ちょうど目覚めてダイニングへと行ったらしく、そこで雫が残しておいたメモを発見したらしい。
『やっぱり雫が来てくれていたんだな。あまりに会いたいと思っていたから幻想か夢でも見たのかと思った。残念なことをした。あれが本物の雫だってわかっていたら、ベッドに引きずり込んだのに』
などと冗談交じりでそんなことを言っていた。