執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
 

 幹太としてはまだ続けたかったようで渋られてしまったが、それでも雫の気持ちを最優先にしてくれる彼に感謝だ。

 だが、時間ができたときには迎えに行くからと言われてしまった。
 彼曰く時折でも彼が雫の傍にいるということを大槻にアピールした方がいいらしい。

 そのため、たまに迎えに来ることは了承させられた。

『大槻のことは抜きにして、雫に会いたいんだ。それが理由じゃダメか?』

 甘えた声で言われてしまったら、NOだなんて言えるはずがないだろう。
 結局、幹太の思うつぼに嵌ることになってしまった。

「幹太くんって、私の操縦法を心得ている気がする」

 うまく彼の手のひらの上で転がされている。だが、それがイヤではないから困ってしまう。

 このまま大槻が現れなければいい。そうすれば、幹太に迷惑をかけることはないはずだ。
 大槻の問題が解消されれば、今まで通りになる。

 ――大丈夫。もう大槻は現れない。

 自分に言い聞かせながら、信号待ちの間に空を見上げる。
 どんよりとした空は、今にも雨が降り出しそうだ。今日は傘を持ってきていないので、早く家に帰った方がいい。
< 97 / 158 >

この作品をシェア

pagetop