執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
歩調を少し速くして自宅マンションを目指したのだが、ポツリと頬に雨粒が落ちてきた。
空を見上げると、次から次に大粒の雨が降ってくる。
あっという間に土砂降りになってしまい、慌てて近くにあったカフェへと逃げ込む。
オレンジジュースを購入して大通りが見えるカウンター席へと腰かけた。
今もまだ雨は強く降り続いている。しばらくすれば止むだろうか。
そういえば編集担当から新作のプロットの件で連絡が来ていたはずだ。スマホで確認をしたのち、返信をする。
そろそろ本腰を入れて新作を書き始めなければ、そんなことを考えていると隣の席に誰かが座った。
なんとなく気になってチラリと横を見る。すると、その人物と目が合ってしまった。
「ようやく、ゆっくりと話せそうだな」
思わず息を呑む。以前、図書館にやって来て、雫に声をかけてきた中年の男性だったからだ。
「……大槻さん、ですか?」
「ああ、そうだ。敏美から話は聞いているってことだな」
やはりこの男が母を妊娠させた上、捨てた男のようだ。彼を前にして色々な感情が込み上げてくる。