執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
母を苦しめ悲しませた男をずっと恨んでいた。もし会うことがあったら、怒りをぶつけてしまうだろう。
そんなふうに思っていたが、いざ目の前にすると関わりたくないという感情の方が強かった。
席を立ち上がろうとしたのだが、それを大槻は止めてくる。
「まぁ、待てよ。これで会うことは最後かもしれないんだから」
「え?」
どういうことだろうか。そう考えてしまった雫は再び腰を下ろしてしまう。
早く逃げた方がいい。脳裏で警鐘が鳴り響いている。だが、疑問を解決する道を選んでしまった。
雫が話を聞くつもりになったと判断したのだろう。大槻は手にしていたコーヒーを一口飲んだあと、雫を見てニタリと厭らしく笑った。
「お前が永江物産の跡継ぎと付き合っていると聞いたから、取引をしようかと思って図書館で声をかけた」
「取引?」
「ああ。俺がお前を認知する代わりに、金の工面を頼もうと思っていた」
大槻は悪びれもせず、淡々とした口調で続ける。