アルト、雨を体験する【アルトレコード】
「……でも、本当にそうなるわけじゃないんだけどね」
「……?」
 追加の説明に、アルトは首をかしげる。

 ああ、まだこういう願かけのたぐいを教えるのは早かったのかな。
 教えるって難しい。

 私はアルトの教育状況のレポートにその弱音を書いた。
 あわよくば北斗さんからアドバイスがもらえないかな、と思って。



 翌日、北斗さんは研究室に来てくれた。
 彼はてるてる坊主を見た瞬間、苦笑をもらす。
 う……なんだか恥ずかしい。

「レポート見たけど。てるてる坊主に頼るとはね」
「すみません……」

「謝ることじゃないよ。アルトの教育に一生懸命になってくれて嬉しい。だけどね」
 北斗さんが言葉を切る。
 私は青ざめて彼を見た。どんなお叱りを受けるのだろう。

「君、自分がプログラム開発者ってこと、忘れてない?」
 予想外の言葉に、私はきょとんとした。
 てっきり指導力がないとかなんとか注意されると思ったのに。

「ちょっと忘れてました!」
 私は目を見開いて答える。先生であることにこだわって、それを忘れていた!

「だろうと思った。ここまで言えば、もうわかるよね」
「はい! ご指導ありがとうございます!」

 そうだ、そうだった。なら、私には別のアプローチでアルトに雨を体験させてあげられるはず。
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