その抱擁は、まだ知らない愛のかたち
「麻里子、こっちにおいで」
そう言った貴之の声は低く、優しさの奥に微かな熱を孕んでいた。ソファの上には、包み紙にくるまれた新しいワンピースが置かれている。
「サンダルはシューズクローゼットに入れておいた」
言葉の合間に、貴之は包みを手に取り、そっと麻里子の手を握る。そのまま寝室へと導かれ、麻里子の心臓はまるで小さな太鼓のように騒ぎ出した。
広い寝室に入ると、開いたままのクローゼットを指差す。
「ここは麻里子のスペースだから」
それだけ言って、ワンピースを静かにハンガーに掛けた。
そして、ベッドに腰掛けた貴之が、立ちすくむ麻里子の腕を引き寄せる。
「……っ」
麻里子はまたしても戸惑っていた。温かくて優しいのに、どこか慣れているようなその仕草。思わず心の声がこぼれそうになる。
(どうして……。こんなこと、他の人にもしてたから……?)
黙ったままの麻里子の体を、貴之の手がゆっくりと撫でる。
そのままそっと抱きしめられ、柔らかなキスが額に落とされた。
—そして、貴之は麻里子をベッドへと導いた。
何が起きているのか、思考が追いつかない。
唇が重なり、次第にキスは熱を帯びていく。
首筋、鎖骨……そして、服越しに胸元を探る手が伸びた、そのときだった。
「いやッ‼」
鋭い叫び声が、静寂を切り裂いた。
貴之の動きが止まる。驚いたように、見下ろしていたその目が揺れる。
「……私は、何人目の女なの?」
絞り出すような問いに、麻里子は涙をこらえながら身を起こそうとする。
だが、貴之の腕がそれを許さなかった。
「行かせない」
掴まれた両手首。視線を逸らそうとした瞬間、その顎をそっと、けれど確かに、強い意志をもって貴之の手が支える。
痛みはない。ただ、逃れられない。
怒りと戸惑いの入り混じった瞳で麻里子を見下ろしながら、彼は低く問う。
「麻里子……今の言葉、どういう意味だ?」
その声に滲んでいたのは、激情ではない。
支配欲と独占欲、そして麻里子への執着。
貴之は怒ってなどいなかった。ただ、許せなかった。
自分を拒むという選択肢を、麻里子が持っていることが。
(おまえは俺のものだ。他の誰にも、触れさせない)
逃がさない。壊さないように、でも確実に支配する。
それは理性ではなく、本能だった。
そう言った貴之の声は低く、優しさの奥に微かな熱を孕んでいた。ソファの上には、包み紙にくるまれた新しいワンピースが置かれている。
「サンダルはシューズクローゼットに入れておいた」
言葉の合間に、貴之は包みを手に取り、そっと麻里子の手を握る。そのまま寝室へと導かれ、麻里子の心臓はまるで小さな太鼓のように騒ぎ出した。
広い寝室に入ると、開いたままのクローゼットを指差す。
「ここは麻里子のスペースだから」
それだけ言って、ワンピースを静かにハンガーに掛けた。
そして、ベッドに腰掛けた貴之が、立ちすくむ麻里子の腕を引き寄せる。
「……っ」
麻里子はまたしても戸惑っていた。温かくて優しいのに、どこか慣れているようなその仕草。思わず心の声がこぼれそうになる。
(どうして……。こんなこと、他の人にもしてたから……?)
黙ったままの麻里子の体を、貴之の手がゆっくりと撫でる。
そのままそっと抱きしめられ、柔らかなキスが額に落とされた。
—そして、貴之は麻里子をベッドへと導いた。
何が起きているのか、思考が追いつかない。
唇が重なり、次第にキスは熱を帯びていく。
首筋、鎖骨……そして、服越しに胸元を探る手が伸びた、そのときだった。
「いやッ‼」
鋭い叫び声が、静寂を切り裂いた。
貴之の動きが止まる。驚いたように、見下ろしていたその目が揺れる。
「……私は、何人目の女なの?」
絞り出すような問いに、麻里子は涙をこらえながら身を起こそうとする。
だが、貴之の腕がそれを許さなかった。
「行かせない」
掴まれた両手首。視線を逸らそうとした瞬間、その顎をそっと、けれど確かに、強い意志をもって貴之の手が支える。
痛みはない。ただ、逃れられない。
怒りと戸惑いの入り混じった瞳で麻里子を見下ろしながら、彼は低く問う。
「麻里子……今の言葉、どういう意味だ?」
その声に滲んでいたのは、激情ではない。
支配欲と独占欲、そして麻里子への執着。
貴之は怒ってなどいなかった。ただ、許せなかった。
自分を拒むという選択肢を、麻里子が持っていることが。
(おまえは俺のものだ。他の誰にも、触れさせない)
逃がさない。壊さないように、でも確実に支配する。
それは理性ではなく、本能だった。