その抱擁は、まだ知らない愛のかたち
貴之は、自室のソファに腰を下ろし、昨夜読みかけたラノベを手に取った。
さて、あのヒーローは俺のペースで行くと、今どのあたりか。
ページをめくりながら、ふとそんなことを考える。

今日は、麻里子をとことん甘やかすつもりだった。
ラノベのヒロインみたいに、徹底的に、優しく、包み込むように。
彼女がそういう“溺愛”に憧れていることくらい、もうとっくに気づいている。

それに、昨日は一度も触れていない。
理性を保つにはちょうどよかったが、
麻里子の体の柔らかな曲線を、服越しに意識してしまったのも事実だ。

貴之は小さく笑って首を振る。
「……俺も所詮、雄か」

独りごちた声に、どこか苦笑めいた色が混じっていた。

今日子が帰った後、麻里子は掃除を済ませ、身支度を整えた。貴之とは何の予定もないけれど、「一緒にいたい」、その一言が、彼女の胸を甘く満たしていた。

玄関のチャイムが鳴る。心が跳ねる。
出迎えると、そこにはやはり貴之が立っていた。

「会いたかった」

そう言う代わりに、麻里子は彼に飛びついた。驚いたように目を見開いた貴之だったが、すぐにその腕で彼女をしっかりと抱きしめる。

「俺がいなくて、寂しかったか?」

麻里子は黙ってうなずき、彼の目を見つめた。

「うん……すごく」

その瞬間、貴之の心の奥が熱を帯びる。彼女の存在が、自分の中でどれだけ大きくなっているかを痛感する。ジャケットを脱いで椅子にかけると、麻里子が声をかけた。

「コーヒー、飲む?」

「いや、飲んできた。……ありがとう、聞いてくれて」

椅子に腰かけようとする彼の肩に、再び麻里子の腕が絡む。

「どうした?」

「……わからない。でも、あなたに触れたくなって」

「そうか」

貴之は微笑み、彼女の髪に顔を埋める。ほのかに漂う香りが心地よい。

「いい香りだな」

「あなたのコロン……好き」

「そうか、嬉しいよ。じゃあ今日は、君の好きな香水を探しに行こうか」

その提案に、麻里子は何も答えず、彼に身を預けたままそっと囁いた。

「……キスして」

「いくらでもしてやる」

静かに重なる唇。けれど、唇だけではもう足りない。麻里子は潤んだ瞳で彼の手を取り、自分の胸元へ導いた。貴之は少し驚きながらも、微笑みを浮かべる。

「どうして欲しいんだ?」

「……触れて……私に」

その囁きは、火種だった。貴之は服越しに彼女の胸を撫でる。その動きは優しく、けれど迷いなく、彼女の欲望を焚きつけていく。

麻里子は切なげに唇を噛む。その顔を見て、貴之はもう一度問うた。

「もっと、はっきり言え。……どうして欲しい?」

「直接、触って……お願い」

貴之の手が、彼女の服の中に滑り込む。温もりと柔らかさ。麻里子の息が次第に浅く、熱を帯びていく。

彼女を立たせたまま、貴之は椅子に腰かけ、スカートをそっとまくり上げた。
レースの縁取りがされた淡い色の下着。その上から、彼は丁寧に愛撫を始める。

「綺麗だ……麻里子。たまらなくいい」

キスを重ねながら、彼女の反応をじっくりと観察する。震える肩、しなる背中、脚先に入る力。
すべてが、貴之を満たし、昂らせた。

やがて、麻里子が自分の手で、貴之の指を下着の中へ導く。

「……麻里子……」

その大胆さに、貴之の中で何かが静かに爆ぜた。
彼女の中を、自分だけのものにしたい。誰にも触れさせたくない
そう思うほど、彼の“雄”の本能は燃え上がる。

だが、それでもまだ、彼はギリギリのところで理性を保っていた。

「麻里子……君が欲しがるところ、全部教えてくれ」

彼女が震える唇で答える前に、貴之はその愛おしい場所を、確かめるように、深く触れた。
彼女の反応を楽しみながら、追い込むように責めていく。

「いけよ、麻里子……君がとろける瞬間が見たいんだ」

羞恥も、ためらいも越えて、麻里子はすべてをさらけ出した。
愛される悦びと、貴之にすべてを委ねる安心に包まれながら、彼女は、彼だけの世界に堕ちていく。
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