ねえ、寂しそうにしないでよ
「ここ、落ち着くから。教室だったらうるせーやつばっかりだけど、屋上だったら誰もいなくて静か。先生も来ないし、クラスメートももちろん来ない。だけど、今日でここは僕だけの場所じゃなくて、青月ちゃんとの2人きりの場所になったね。」

その、“2人きり”というコトバがなんだか特別感があって、私は嬉しくなった。

「・・・ねぇ、“蒼”って呼んでもいいかな?」

「うん、いいよ。じゃあ、“青月”って呼ぶね。」

そんな会話も、ありふれたことかもしれないけれど、ぜんぶに特別感があった。
屋上という秘密の場所が、蒼との会話にマジックをかけたのかもしれない。

その日から、屋上は2人のお決まりの場所になった。

私の小学校生活は、屋上での2人の会話が一番の思い出だ。

蒼が私のことが好きって言ってくれたのも、屋上だった。
大切な会話のそばには、いつも屋上があった。


楽しく過ごし、小学校生活もあと1ヶ月を切った頃、私の引っ越しが決まった。
引っ越しのために、卒業式には出られず、新しい地の中学校で生活するのだという。
当然、蒼と一緒に中学校生活は送れない。

私は激しく反対した。

蒼と同じ中学に進むつもりだったのに。と、お母さんに猛反発した。
でも、家族は一心同体だというお母さんの考えは、動かなかった。

お母さんの家族を大事にしたいという気持ちが、こんなときに敵になるなんて。
悔しくて、悲しかった。

だけど私は、蒼に引っ越しが決まったから同じ中学に進めない。ということを言えなかった。
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