ねえ、寂しそうにしないでよ
なにか、特別な感情が、私を縛り付けて、声が出なかった。
それに、「またね」とか、「バイバイ」とか、「元気でね」っていうコトバを言える気がしなかった。

私の中に、蒼に伝えなきゃいけない感情が残っていた。
その感情が私を縛っているのかも知れない。

それは・・・
はっきり言ってしまえば、恋心だった。
私はちゃんと、蒼のことが好きって言うことができていない。

あの時屋上で、「青月のことが好きって決まってるじゃん」って言ってくれた。
だから、蒼の中で私は「彼女」だし、私も蒼のことを「彼氏」だと思っている。

そんな関係だった。

でも私はちゃんと蒼に、「好き」って言えていない。
いまさら好きって言ってから引っ越すことなんてできなかった。

お互いスマホは持っていないから、当然メールなんかしていない。
お手紙もたぶんむりそう。
前に、お手紙書いてみようかな?って言ったら、俺は普通に手紙とか返事かけないからって言われたし。

私と蒼の関係は、当然薄れてしまうだろう。

言えばいいのに、いなかった。
誰よりも言いたい相手なのに、言えない。

私は、この感情を持て余した。

何も言えないまま、最後の日を過ごした。

卒業式に参加しなかったから、蒼に怪しまれたけれど、「本当は出席したけど、途中でお腹が痛くなって保健室にいた。」という理由で誤魔化した。

蒼は、そんなわかりやすい嘘に騙されない。

分かっていたけれど、どうしても本当のことが言えなかった。
その時点で、蒼は勘づいていたのだと思う。
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