きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
 その後は水族館に戻り、客として水族館を楽しむ。
 かおるは途中に見かけた売店でネックストラップを買ってアルトの端末につけた。これでもう落とさずにすむ。

 四時になるとイルカショーを見るため、専用プールへと向かった。
 そのプールは海と接続しており、潮の香りがしていた。
 水族館の魚たちは深海魚や絶滅危惧種などの一部を除いて本物だが、ショーのイルカはAIロボットだ。動物保護の観点から、国際ルールでショーに使う動物はAIを使うと決まっている。本物の動物を使うときには特別な許可が必要だ。

 時間になると会場は満席になった。
 最前列を確保できたかおるとアルトはわくわくとその時を待つ。

「ここのイルカって、一緒に泳げるんだよね?」
「そうだよ。野生のイルカは危険だけど、ここのイルカはAIだからね。緊急時には人間を優先して助けるプログラムもされてるの」

「野生は危ないの?」
「噛んだり体当たりしたり、海にひきずりこむこともあるんだよ」

「そうなんだ……この前見た映画と違う」
 アルトは驚きと落胆が入り混じった複雑な顔をしていた。

 二名の係員と一名の司会が入場し、イルカたちが待機プールからショー用のプールに泳いでくる。
 挨拶がわりに四頭が同時にジャンプし、着水の水しぶきが大きくあがる。客席にどよめきが走り、拍手が鳴った。

「みなさん、こんにちは! 今日はようこそいらしてくださいました。イルカは頭がいい生き物で、たくさんの芸を覚えてくれるんですよ。今日はその一部をご紹介します! 頑張ってくれるのはAIイルカのアクア、マリン、パール、サンゴです!」

 司会が四頭を説明すると、係員が水中に入る。イルカが口先に彼らを乗せ、テンポの良い音楽に合わせてプールのヘリをすごい勢いで泳ぐ。水しぶきが観客席にまで飛んできて、最前のかおるはびしょびしょになり、慌てて小声でアルトに言った。
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