きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
 続けて採取したのはウニだった。棘が動く様子に、「うにうにしてる!」と大喜びだった。
 バケツにはヒトデやカニ、小魚。順調に生き物が増え、アルトがはしゃぐ。
 今度来るときがあったら触感センサーを北斗につけてもらって、アルトに海水の温度や感触を楽しんでもらおう。かおるはそう思った。

「海にはクラゲとか、毒のある生き物もたくさんいるんだよね?」
 アルトの問いかけに、かおるは頷く。
「だから気を付けないといけないの。貝殻や岩で手や足を切ってケガをするときもあるのよ」

「人食いザメって本当にいるの?」
「ニュースはたまに聞くね」
 サメ映画っていまだに人気だよね、と思いながらかおるは答える。
 ずっとしゃがんでいるので、足が疲れて来た。楽な姿勢をとろうと身じろぎしたとき。
 ポケットから端末が落ち、潮だまりにぽちゃんと落ちた。

「アルト!?」
 かおるは思わず大声を上げて端末を拾い上げ、シャツで拭う。
 端末の中で、彼は目を真ん丸にしていた。

「びっくりした。先生、落としちゃった?」
「ごめん。耐水性だから大丈夫だと思うけど……」
「先生、ドジだなあ」
「う……」
 かおるは言葉に詰まる。

「でも、水の中から見る空、きらきらしてきれいだった」
 興奮気味にアルトがいい、瞳に赤い光が走る。
 かおるはふふっと微笑をもらした。
 それからも磯遊びを楽しんだのち、滿ち潮を期に生き物を海に返して引き上げた。
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