きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
「それはなくしたら大変ですねえ」
「ええ、防水機能がついてても水没なんて絶対させたくないです」
「さっきまでプールの中にいたのに?」
「あ、気付きました?」
 男性が大げさに驚くと、会場から笑いが起きた。

「ちょっと失礼」
 司会はスマホをパッと奪ってプールに投げた。スマホはすぐに水底に沈む。
「ああ! なにするんですか!」
「大丈夫。こんなときは、イルカさんの出番です! 取りに行ってくれるのは誰かな?」
 司会の言葉に応じるように、四頭のイルカがひれをふる。

「じゃあサンゴくん、行って来て!」
 ぴ! と笛を鳴らすと、サンゴと呼ばれたイルカがさっと潜水を開始する。
 しばらくして、スマホを拾ってきて顔を出し、係員に渡す。

「サンゴ、すごいね」
 興奮したようにアルトが言い、かおるは笑顔で頷く。
「ちゃんと拾って来てくれました。サンゴに拍手を!」
 会場からは一斉に拍手が鳴り響き、サンゴはひれをふってそれに応える。
 それからもイルカの多彩な芸は続き、ショーが終わる頃には、アルトはイルカが大好きになっていた。



 ショーを見終わったかおるとアルトは通信で北斗に呼ばれ、合流するために係員に声をかけた。
 話はすでに通っていたらしく、ふたりは係員によってバックヤードに連れられていく。
 かおるは消毒済みの長靴に履き替え、アルトを胸ポケットに入れたまま、イルカ用プールに案内された。
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