きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
 イルカたちはプールのふちに行儀よく並んでいた。そのそばにふたりの男性が立っている。
 ひとりは北斗だ。潜水服を来たもうひとりはさきほどイルカと一緒にショーを見せてくれた、四十代くらいの人物だった。
 彼らのところへ歩いて行き、かおるは「お疲れ様です」と頭を下げる。

「ああ、来たね。こちらは水族館のイルカ担当の方で、円藤さん。明日、君と一緒にイルカの点検に行く方だよ」
 北斗の紹介に、男性が頭を下げる。

「円藤雄介(ゆうすけ)です。よろしく」
「星宮かおるです。明日の検査を担当します。よろしくお願いします」
 かおるは再度頭を下げて、北斗に目を向ける。

「今日の検査はいかがでしたか?」
「無事に済んだよ。内臓ソーラー発電も問題なし。ここに呼んだのは、イルカたちに登録した君の声にちゃんと反応するか確認したくてね」

「はい。コードで指示したらいいんですよね?」
「そうだよ。係員ならコードなしでも指示を聞くようにセットされてるけどね」
 点検のため、かおるたちは声紋をゲスト登録したあとにコードで指令を出すようになっている。そのためのコードはここにくるまでに予習してあった。

 つぶらな瞳のイルカたちを見ると、まるで指示を待っているかのようだった。
 ふと、一頭だけ額にバツ印のような傷があることに気がついた。気になったが、今は仕事が優先だ。

「わかりました。コード5081、ジャンプして」
 指示を聞いたイルカたちはさっと泳いでいったかと思うと見事な大ジャンプを披露した。
「わあ!」
 驚いた声が胸元からした。アルトだ。
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