きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
「ねえ、ジャンプ見せて」
 アルトの言葉はすぐにイルカの言葉に翻訳され、彼らに伝わる。
 彼らは泳いでいくと、一斉に揃ってジャンプした。大きな水しぶきが飛んできて、かおるもアルトもびしょ濡れになる。北斗は少し離れたところにいて無事なようだ。

「……また濡れちゃった」
「すごい、すごいよ、先生!」
 アルトは興奮して叫ぶ。
 イルカたちはすぐにプールサイドに戻って来た。

「ショーでも尾びれでボールを撃ち返したりしてすごかったよね」
「うん。サンゴがプールの底に落ちたスマホを拾って来るのもすごかった」
 この会話も翻訳されていて、額に傷のあるイルカからきゅいきゅいと返事が返って来た。

「ふふ、サンゴが、ほめてくれて嬉しいって!」
「よかったね、喜んでもらえて」
 楽しげな報告に、かおるは微笑を返す。どうやら額に傷のあるイルカがサンゴらしい。

「サンゴ、大好き! あ、もちろんみんなも大好きだよ!」
 アルトの言葉は随時、翻訳されている。イルカたちは嬉しげにプールの奥に泳いでいき、大きなジャンプを見せてくれた。
「そうそう、サンゴと言えば、彼だけはちょっと動きが遅いらしい。今日見た限りでは機能的に異常はなかったけど、明日も気を付けて見てあげて」
 北斗に言われ、かおるは頷く。

「はい、わかりました」
 戻ってきたサンゴを改めて見ると、彼だけ外皮部分に傷が多い。
「この子、傷だらけですね」
「プールの壁によくぶつかるって円藤さんが言っていたよ。気になるけど、事故自体は珍しくないから」
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