きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
 AIも完璧ではない。自動運転のビークルだって動物の飛び出しやセンサーの不感知などで事故を起こすことがある。
「そろそろ終わりだよ」
 北斗の声に顔を上げると、雄介がこちらに歩いてくるのが見えた。

「あー、残念。またね、イルカさんたち」
 アルトが手を振ると、AIイルカたちは手を振るようにひれを振り返した。



 水族館を出たかおるたちは、乗って来たビークルに乗り込んだ。最寄り駅の名前を入力してスタートボタンを押すと、ビークルは静かに走り出す。
「今日はお疲れ様。ホテルはとってあるから、君たちはそこに宿泊して。俺の担当の検査は終わったから、明日は予定通り君だけでよろしく」
「はい」

「アルト、今回は特別に先生と一緒に行くけど、大人しくしてるんだよ」
「わかってる! 初めての船、楽しみ。海ってどこまでも広がってるんでしょ? 沖はとっても深いって」
 アルトは興奮気味に言い、瞳が一瞬、赤く光った。

「そうだね。太平洋のチャレンジャー海淵っていうところは一万メートルを超えているよ」
 説明する北斗の博識さにかおるは驚いた。

「先生、ぼくを海で落とさないでね」
「落とすわけないよ」

「だって今日、落としたもん」
「ちょ、アルト、それは」
 かおるは慌てる。
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