きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
「君、アルトを落としたの?」
 北斗の目がいぶかしげに細まり、きらりと青く光った。彼のオニキスのような瞳は、光の加減でときおり青く光るのだ。

「すみません。あ、でももうストラップをつけました」
 水族館で買ったネックストラップはすぐに着けて、今は首から下げている。

「すぐに対策をとるのは良いことだね。その端末は特別製で三十気圧は耐えられるから深海も三百メートル程度は大丈夫だけど。イルカの深度テストに行く駿河湾には深さ千メートル以上の海底峡谷があるし、水中は電波も通らないから気を付けて」
「はい!」
 アルトを深海に落としたら、二度と会えないだろう。そんなことになったら絶対に立ち直れない。

「イルカって深海でも泳げるの?」
 アルトの疑問に、かおるは頷いた。
「例えばミナミハンドウイルカは水深五百メートルまで潜れるのよ。今回のAIイルカはそれをモデルにしてるけど、機能的には三百メートルまでかな」
 検査のために予習しておいたため、すらすらと言えた。これで少しは「先生」を挽回できただろうか。

「ショーに使うだけならそこまでの機能は必要ないんだけど、研究も兼ねて深海対応になってるんだって」
 水族館との共同研究の対象であり、高性能に作られているのだ。

「イルカは哺乳類で、海に生息する哺乳類を海獣って言うんだよね。呼吸してて、長いと15分くらい息を止めてられるんだ。AIイルカもそう?」
「呼吸機能はさすがについてないなあ。アルトはよく知ってるね」

「調べたんだ。もう先生より物知りだよ!」
 アルトは誇らしげに胸を張った。
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