きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
 ビークルが駅に着くと、北斗はアタッシェケースを手にする。彼の荷物は検査の備品が入ったこれだけだった。
「前にも言ったけど、万一のために衛星通信端末も持って行くこと。小型だから音声通信オンリーだけど」
「はい」
 明快な返事に、北斗は満足げに頷いた。

「じゃ、あとはよろしく」
「お疲れ様です」
「ほくと、バイバイ」
 アルトが手を振ると、北斗は小さく手を振り返してからビークルを降りて駅に向かった。
 かおるはビークルにホテル名を入力し、発進させた。



 翌日。ホテルの一室で、かおるはひりひりする耳の痛みに悩んでいた。
「うう……耳に日焼け止めを塗り忘れた……」
 日頃は研究室にこもっているので、耳も日焼けするという当然のことを失念していた。
 今度、アルトに耳なし芳一の物語を用意してあげようと思いながら準備を終え、ホテルを出てビークルで港に向かう。

 車中、ふと前の会社を思い出した。
 そこで作られていたのは奴隷としか思えないAIロボットだった。
 それがつらかった。

 かおるはAIロボットに感情移入しがちで、職場の人たちにバカにされた。
 しょせんロボットなのに。
 そう言われて目の前でロボットを蹴られて、だけど、怖くてなにも言えなかった。
 職場のそんな現状が嫌で、転職したのだ。
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