きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
 AIの彼らにはロボット三原則が組み込まれ、人を傷付けることがない。
 ロボット三原則はざっくり言うと、人を傷つけるな、これに反しない限り人間の命令を聞け、前のふたつに反しない限りは自分を守れ、というもので、人間に都合のいいものだ。
 だからAIは人に反抗しない。どんな扱いを受けても従順に命令を聞く。

 世の中にはAIというだけで憎悪する人、「AIなんて偽物は許せない」という人もいる。
 過去のニュータイプAIによる殺人事件のせいもあるかもしれない。そのAIはロボット三原則をどうやってかいくぐったのかわからない。感情が理性——つまりロボット三原則を上回ったという説もあるが、真相は謎だ。ともあれこの事件がきっかけでニュータイプAIの開発が禁止された。

「——んせい、先生?」
 呼びかけに、かおるはハッとした。
「ごめん、考えごとしてた」
 かおるはアルトを安心させるように笑みを見せる。

 港についた彼女らは雄介と落ち合った。今日の彼はポロシャツに作業ズボンという動き易そうな服装だった。
 かおるも半袖シャツにデニムという軽装だ。帽子は風で飛びそうだからかぶっておらず、今度は耳にも日焼け止めを塗って来た。デニムのポケットには衛星通信端末がある。

「今日は実験的にサポートAIを稼働させていますので、ご了承願います」
 かおるはそう言って胸ポケットの端末を示す。アルトの姿は見えないようにケースで隠してあるが、カメラは塞いでいないのでアルトの視界は確保されている。もちろんネックストラップをつけて落ちないようにしていた。

 船長にも挨拶し、ショルダー型のライフジャケットを身に着ける。これは海に落ちた場合に自動展開するタイプだ。
 ふだんは漁船だというその船には、長い棒の手持ち式の網やきれいにまとめられたロープなどが積まれていた。
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