きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
「イルカが増えてる!」
 アルトの声に顔を上げると、四頭だったイルカが五頭に増えていた。
「はは、野生のイルカが混じったな」
 雄介が笑いながら言い、かおるは身を乗り出してまじまじと見た。

「野生のイルカなんて初めてです」
 言いながら、アルトにも見えるように端末のカメラを向ける。
「本当のイルカだ!」
 アルトが喜びの声を上げた。

「なかなか会えないから運が良かったね。やっぱ本物はいいなあ」
 雄介はそう言って目を細め、にこにことイルカを見た。
「AIイルカと見分けがつかないね」
 アルトが言い、かおるは頷く。

「似せて作られているからね。だけどほんとにそっくり」
 イルカはAIイルカの周りをぐるぐると泳ぐが、彼らが反応しないことに戸惑っているようだ。

「ちょうど良かった。北斗さんに、本物のイルカがいたら試してほしいって言われてたんだ」
 かおるはそう言ってAIイルカに指示を出す。
 AIイルカがぴーっと鳴いて、野生のイルカが反応を示した。
 イルカたちは泳ぎ出して船から距離をとった。
 かと思うと、五頭で一斉にジャンプを始める。

「すごい!」
 雄介があっけにとられたように言い、アルトもまた目を丸くしていた。
「生体イルカとのコミュニケーション、OK。海でのジャンプ機能、OK」

 かおるはなんだか誇らしくなってきた。自分の務める研究所の製作したAIイルカが本物と遜色(そんしょく)なく動く。これが人々を感動させる原動力になるはずだ。
 イルカたちがなんども飛び跳ねている姿は、楽し気に遊ぶ子どものようだ。
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