きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
「大人ならAIに暴力を振るうなんてやめてください。無抵抗な存在をいたぶるなんて」
 雄介は唇をゆがめてさらに笑った。
「俺がやったなんて証拠はない。日頃の信用があるし、あんたの言葉なんて誰も信じないよ」
 かおるは歯噛みする。おそらくその通りだ。事情聴取は行われるだろうが、彼が「やってない」と言えばうやむやになるだろう。

「証拠はあるよ」
 胸元から響いた声に、かおると雄介ははっとした。

「ぼくが録画したから」
「アルト……」
 カメラを隠すのが間に合わなかった。アルトに残酷な現実を見せてしまった悔いとともに、とっさにその判断ができた彼を誇らしく思う。

「AIのくせに! よこせ!」
 雄介がアルトに手を伸ばす。
「やめて!」
 かおるはとっさに背を向けてかばう。
 が、ネックストラップを後ろからぐいっとひっぱられ、首がしまる。

「う……」
「先生? 大丈夫!?」
 アルトが叫ぶが、かおるは返事ができない。
 波で船が揺れ、ふたりはバランスを崩した。

「うわあ!」
 雄介の叫び声とともに、首が楽になる。が、直後、ごとん、と音がしてアルトの入った端末が床に落ちた。
 タイミングが悪く、ネックストラップが首から外れてしまったのだ。
< 27 / 51 >

この作品をシェア

pagetop