きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
 かおるは自分でもメールを作成し、北斗に送る。アルトが海を見たがっているが、連れて行ってもいいか、という内容だ。
 返事は意外に早く来た。
『来週、海のそばの水族館にAIロボットの点検に行く予定なんだ。ちょうどいいから一緒に行こう』

 水棲生物のAIロボットの点検だ。希少生物など現物が難しいものをロボットで代用している。
 北斗も自分も研究開発者だから、普段は点検に行くことなどない。他部署から応援要請があったのだろう。北斗は水族館が好きらしいから、彼から志願したのかもしれない。

『ありがとうございます。準備物があったら教えてください』
『了解。また連絡する』
 返事を見た直後、アルトが戻って来た。全身に喜びをあふれさせ、瞳がきらきらしている。

「北斗、いいって言ったよ!」
「こっちにもメールが来てた。よかったね」
「うん! 先生、水着着てね!」
「ええ!? 海を見るだけでしょ?」
 予想外のことに、かおるは驚きの声をあげる。

「せっかく行くのに泳がないの?」
「だってアルトは泳げないのよ」
 彼は、彼のいる空間での水泳はできるが、現実では不可能だ。

 アルトが泳がないのなら、自分が泳ぎに出る意味がない。
「だから北斗と先生がぼくのぶんも泳いでよ」
 そんな無茶苦茶な、とかおるは目を点にする。と同時にいろんなことが頭を駆け巡る。
 北斗さんの水着姿なんて絶対にレアだ。というか、北斗さんは拒否するのでは。というか、自分も水着になって見られるなんて恥ずかし過ぎる。
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