何もかも失ったわたしに待ち受けていたのはイケメン達との極甘な同居生活でした
なんだろう。敦さまへのトキメキとは比べ物にもならないような、この気持ちは…。
「すず?疲れたか?」
いつまでも車から降りないわたしを心配げに覗いてくる、イケメン。
ううん。わたしの心はまだきっと敦さまのもの。
長年培(つちか)ってきたこの恋心がたったの2日で覆るなんて、そんなの、自分への裏切りだわ。
「大丈夫です」
差し出された手を取ることなく車内から出た。
「……」
なにか物言いたげにわたしを見ていた翠さまだけれど、気を取り直したのか
「行こう」
今度こそわたしの手を引いて豪邸とも言える一軒家へと歩を進めた。
「いらっしゃい、翠くんっ!」
チャイムを押すことなく開かれた扉から、翠さまとそれ程年齢が変わらなさそうな可愛らしい女性が笑顔で翠さまを迎えた。
その女性は、わたしのこともその大きくキラキラとした瞳にとらえると柔らかな表情で
「彼女さんも!いらっしゃいっ」
…この方も、勘違いを、
「あ、あの、わたしは翠さまの家政婦でしてっ、」