満月に引き寄せられた恋〜雪花姫とツンデレ副社長〜
その怒鳴り声に驚いてドアの方を見ると、退社したはずの倉本さんが、鬼のような形相で立っていた。
ゆっくりと、しかし確実に足を進めながら近づいてくる。その目は血走っていて、口からははっきりとアルコールの匂いが漂ってきた。
──危ない、逃げなきゃ!
そう思っても、足がまるで凍りついたように動かない。自分の体が、自分のものじゃなくなったような感覚だった。ただ、怖くて、怖くて……、体が動かない。
その間にも、彼との距離はどんどん縮まっていく。
「おまえのせいで……、おまえのせいで、全部ダメになったんだよ!」
怒鳴り声と同時に、左肩と右手首をガシッとつかまれる。痛みと共に、そのまま後ろへ強く押された。
ドンッ。
背中に鈍い衝撃が走る。あとから広がってくるのは、鈍い痛みと、ガラスの冷たさ。
思わず顔が歪む。
ようやく思考が追いつく。私は今、大きな窓に押しつけられている。
酔っているとはいえ、男性の力は圧倒的だった。なんとか振りほどこうとしても、彼の力のほうが強い。
その顔が、月の光に照らされてはっきり見え、恐怖に息を呑む。
狂気じみた、倉本さんの顔。
「おまえのこの手がなければ、すべてはうまくいったんだ!!」
喚きながら、右手首を力任せに窓へ何度も打ちつけてくる。
あまりの痛みに、呼吸ができない。そして、何もできない自分に、深い絶望が押し寄せてくる。
……、きっと、バチが当たったんだ。
『幸せになってもいいよね』、なんて思ったから。
繰り返される痛み。右手首の感覚が麻痺しはじめる。
声にならない声が、心の中に響く。
「助けて……、熊男……!」
ゆっくりと、しかし確実に足を進めながら近づいてくる。その目は血走っていて、口からははっきりとアルコールの匂いが漂ってきた。
──危ない、逃げなきゃ!
そう思っても、足がまるで凍りついたように動かない。自分の体が、自分のものじゃなくなったような感覚だった。ただ、怖くて、怖くて……、体が動かない。
その間にも、彼との距離はどんどん縮まっていく。
「おまえのせいで……、おまえのせいで、全部ダメになったんだよ!」
怒鳴り声と同時に、左肩と右手首をガシッとつかまれる。痛みと共に、そのまま後ろへ強く押された。
ドンッ。
背中に鈍い衝撃が走る。あとから広がってくるのは、鈍い痛みと、ガラスの冷たさ。
思わず顔が歪む。
ようやく思考が追いつく。私は今、大きな窓に押しつけられている。
酔っているとはいえ、男性の力は圧倒的だった。なんとか振りほどこうとしても、彼の力のほうが強い。
その顔が、月の光に照らされてはっきり見え、恐怖に息を呑む。
狂気じみた、倉本さんの顔。
「おまえのこの手がなければ、すべてはうまくいったんだ!!」
喚きながら、右手首を力任せに窓へ何度も打ちつけてくる。
あまりの痛みに、呼吸ができない。そして、何もできない自分に、深い絶望が押し寄せてくる。
……、きっと、バチが当たったんだ。
『幸せになってもいいよね』、なんて思ったから。
繰り返される痛み。右手首の感覚が麻痺しはじめる。
声にならない声が、心の中に響く。
「助けて……、熊男……!」