クールな同期は、私にだけ甘い。
私のデスクの隣に影が差した。顔を上げると、そこにいたのは萩原くん。
彼の鋭い視線が、私を射抜く。
「おい、桜井。そんな顔をするな。まだ何も終わっていないだろう」
その言葉に、私はハッと息を呑んだ。
いつも冷静な彼が、珍しく強い口調で、私の心の奥底を見透かすように真っ直ぐ見つめてくる。
「お前は、もっとできる。感情的になるな。いま必要なのは、課題の分析と具体的な解決策だ。ユーザーテストの結果をちゃんと見て、何が問題なのか、冷静になって考え直せ!」
「……っ!」
萩原くんの厳しい言葉に、私は拳を握りしめた。
彼の眼差しは、私を信じていると力強く告げているようで。
それを感じ取りながらも、自分の不甲斐なさに胸が締めつけられる。
どうして、私はいつもこうなんだろう。
悔しさが込み上げ、唇をきつく噛みしめた。