クールな同期は、私にだけ甘い。
駅までの薄暗い道を、萩原くんと並んで歩く。
街の喧騒は遠ざかり、話し声も少なくなる。
静かな夜道に、コツコツと二人の足音だけが響く。肌寒い秋の夜風の中でも、私の心は温かかった。
萩原くんが隣にいてくれる。たったそれだけで、不安な気持ちはどこかへ消え去り、明日への希望が胸に満ちていく。
今日のこの夜を、私はきっと忘れないだろう。
ひんやりとした秋の夜に、ふと訪れた温かい時間。それはまるで、新しい季節の訪れを告げる、夜明けの予感のようだった。
――あの日から数週間後。プロジェクトは、いよいよ佳境を迎えていた。
私と萩原くんは、寝食を忘れてプロジェクトに取り組んだ。
幾度もの衝突と、それを乗り越えた先には、確かな信頼関係と揺るぎない絆が生まれていた。
萩原くんと共に作り上げたウェブサイトは、ユーザーの課題を解決し、地域活性化に貢献するものとなった。
プレゼンの際に私は、そのデザインの価値や操作性の良さを、具体的なデータと美しいビジュアルで、明確に示せるようになっていた。
そして迎えた、最終プレゼンの日。私と萩原くんは、チームの中心として堂々とプレゼンに臨んだ。
私は、自らデザインしたウェブサイトの見本を操作し、その体験価値を熱く語る。
プレゼン中、何度も萩原くんと視線を交わした。彼の力強い眼差しが、私に自信を与えてくれた。
◇
プレゼンの結果、私たちのチームの新規事業案が、見事社内トップの評価を得て、採用されることになった。
オフィス全体が歓声に包まれる中、私と萩原くんは静かに顔を見合わせ、深く頷く。
萩原くんの目には確かな手応えが、そして私自身もまた、彼への深い感謝とプロジェクトをやり遂げた喜びに満ちていた。