クールな同期は、私にだけ甘い。

「ったく。泣くなよ」

蓮は軽く眉を下げて、困ったように笑った。

「だって……うれし、くて……」

嗚咽が漏れそうになるのを必死に堪えていると、蓮はそっと私の顎を引き上げ、潤んだ瞳を真っ直ぐに見つめた。

「もう、泣くな。これからは、俺がずっと、お前のそばにいるから」

蓮の顔が、ゆっくりと近づいてくる。

目を閉じると、優しい熱を帯びた唇が、私の唇にそっと重なった。

蓮との初めてのキスは甘く、切ないほどに温かくて。彼と本当に両想いになれたのだと、実感する。

「琴音、俺と付き合って」
「……はいっ」

彼の大きな手の温かさが、じんわりと私の心の芯まで満たしていく。

不安や迷いは全て溶けて消え去り、確かな幸福感が私を包み込んだ。秋の澄んだ空気に、二人の心が溶け合うような甘い感覚が広がる。

この日、私たちは恋人として新しい一歩を踏み出した。

これまで「同期」として共有してきた時間は今、互いを慈しみ、高め合う「恋人」としての温かい関係へと繋がっていた。
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