クールな同期は、私にだけ甘い。
「……うん」
蓮は私の企画書をじっと見つめ、ゆっくりと、深く頷く。
「すごいな、琴音。これ、本当に良い出来だ」
彼の言葉に、私は思わず顔を上げる。
蓮の表情は、心底感動しているようで。その瞳は夜のオフィス街の輝きを映して、一層きらめいていた。
「ありがとう」
頬が、一気に熱くなるのを感じた。
「琴音」
蓮は優しく私の名前を呼ぶと、私の頭にそっと手を置く。それは、あの日と同じ。彼の手のひらから伝わる温かさに、私の胸は満たされていく。
「本当に、よく頑張ったな。あの日の琴音からは想像できないくらい、すごく良い顔をしてる。お前の頑張りも、才能も、俺がずっと隣で見てるから」
蓮の温かい手の感触は、もうあの日のように私の涙を誘うことはない。
ただただ温かさと、彼からの深い愛情が、私の心を包み込んだ。
私は蓮のほうを向き、彼の大きな手をそっと握って、指を絡ませる。
「うん。これからも、蓮が隣にいてくれたら、きっと大丈夫。完璧じゃなくても、心を動かせるデザインがあるって、今は自信を持って言えるよ」
私の言葉に、蓮は再び優しく微笑む。
彼の瞳には、私への限りない愛情と、誇らしげな光が宿っている。
「琴音がそう思えるようになったなら、俺はそれだけで十分だ」
そう言うと、蓮はそっと顔を近づけ、私の唇に優しくキスを落とす。
その温かな感触が、私の心に甘い熱を広げていく。