冷徹な国王は隣国の王女を愛してやまない
次々と山間部がアルミナの手に落ちていくという知らせが、エスタリア王国に届く。

さらに、アルミナはその土地の人々を奴隷として扱い、無惨な状況が続いていることが伝えられ、王国の未来はますます暗くなる。

病に倒れている兄上は、情勢を知り、立ち上がる決意を固める。

「もう、我慢ならん。」

病に倒れていたはずの兄上は、伝令がもたらした知らせに怒りと焦りを覚え、無理を押して起き上がろうとした。

私すぐに駆け寄り、兄を支えようとするが、兄上は強い意志を見せる。

「兄上、無理をしないでください。」

私は必死に兄を横に寝かせ、安静を促すが、兄上の顔には戦いへの決意がにじんでいた。

彼は王国のために立ち上がりたい、そして自らの命を賭けてでも戦いを終わらせたいという強い思いがあるのだ。

「こうなれば、アドリアン様を王の代理人として…」

その時、家来が口を開く。
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