冷徹な国王は隣国の王女を愛してやまない
「馬鹿な。アドリアンは、まだ10歳ですよ!」

私は、まだ幼いアドリアンが王国の代理人として立つことを恐れていた。

彼はまだ子供で、王としての重責を背負わせるにはあまりにも早すぎると感じていた。

私の心は、不安と恐れで満ちていった。

「しかし、他に立つ方があらせますか?」

家来は冷静に言葉を続ける。

「王族以外の者が立っても、気性の荒いエスタリアの兵士たちは決して認めないでしょう。」

確かに、王族の血を引く者でなければ、兵士たちの信頼を得ることは難しい。

私がそのことを理解しているからこそ、アドリアンにその役割を担わせることは不安でしかなかった。

その時、私は一つの決断を下す。それしかない。

「こうなったら、私自ら戦地に向かうしかないでしょう。」

王族として、姉として、そしてエスタリア王国を守る者として、私は自分の使命を果たす覚悟を決めた。

アドリアンを守り、王国を守るためには、私が立ち上がるしかない。

その一歩を踏み出すことが、私にできる唯一の選択肢だと感じた。
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