冷徹な国王は隣国の王女を愛してやまない
「それは俺が許さない!」

病に倒れた兄・アルトリアスが、私の決意を止めようと叫んだ。

彼の声は弱々しくも、強い意志を感じさせた。

「しかし!他に誰がいると言うのでしょうか!」

私は兄に歯向かうように言った。

王国が危機に瀕している今、私にできることは戦地に向かうことしかないと感じていた。

「セレナ、気持ちはありがたい。しかし、女には女にしかできないことがある。」

その言葉に、私は一瞬黙り込んだ。兄はゆっくりと、疲れた顔で言葉を続ける。

「早く結婚し、王族の血筋を守れ。」

その言葉は、私の胸を深く傷つけた。

まるで私には、王国を守るためにできることが、ただ子供を産むことしかないと言われているように感じた。

心が引き裂かれるような痛みを覚え、思わず声が詰まる。

「それは……」

私は言葉にできなかった。

心の中で、女として、姉として、王族の一員として何ができるのかを必死に考えていた。

私には戦う力がないのか、それともただ「母親」にならなければならないのか。
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