冷徹な国王は隣国の王女を愛してやまない
「……兄上、女には女にしかできない事があると仰いましたね。」

私は深く息を吸い、兄を見つめながら静かに言った。

「…ああ。」

兄は少し驚いたように私を見つめたが、私の決意を理解し、何も言わなかった。

「私に、よい考えがあります。」

私は覚悟を決めた。心の中で、自分の役目が見えた瞬間だった。女であることを武器にすると。

「私は、アーサリオン王の宮殿に行って、彼の愛を手に入れます。」

その言葉が口をついて出た瞬間、兄の顔が一瞬硬直した。私の意図を理解したのだろう。彼の目には心配と懸念が浮かんでいた。

「セレナ。」

兄は私に手を伸ばし、しっかりと握りしめた。

「おまえは美しい。アーサリオンもおまえであれば、心を奪われるだろう。だが、敵のモノになれば、おまえが傷つく。」

その言葉が、私の胸を突き刺した。

愛を手に入れるためには、どれほどの代償を払うのか、私はまだ理解していない。

しかし、私は後戻りできない覚悟を決めていた。
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