絆の光は未来へ
光希は、再度電子カルテの画面に目を戻し、治療方針の項目を開いた。

「炎症が進むと、将来的に妊娠しづらくなる可能性もある。もちろん、そうならないように、俺たちが全力でサポートするが、そのためには、お前も正直に、症状を伝えてほしい」

光希の言葉は、厳しさの中にも、彼女の未来を真剣に案じる響きがあった。看護師を目指すあゆかにとって、「将来的に妊娠しづらくなる可能性」という言葉は、何よりも重かった。

それは、彼女の夢だけでなく、女性としての未来にも影を落とす、残酷な現実だった。

あゆかは、こみ上げる感情を抑えきれず、唇をきつく噛み締めた。その震える指先が、スカートの布を固く握りしめる。光希の視線は、依然として真剣で、優しかった。

彼は電子カルテの画面をあゆかのほうに向け、炎症の範囲を示す図を示しながら続けた。

「今回は、前回よりも少し広範囲に炎症が見られる。内服薬の量と種類を調整して、様子を見たい。あとは、日常生活での負担もできるだけ減らしてほしいんだが……何か、無理をしていることはないか?」

光希の問いかけに、あゆかはハッとした。実習、大量のレポート、そして学校生活。衛生看護学科は、普通科の生徒のような生活はできない。知らず知らずのうちに、身体に負担をかけていたのかもしれない。

「いえ、特に……大丈夫、です」



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