絆の光は未来へ
夜の静寂がマンションを包んでいた。リビングには温かな明かりが灯り、ソファには一光希が座っていた。

光希は手にグラスを持っているが、酒は進まない。田中美智子との診察から数時間が経っても、胸の奥の重苦しさは消えずにいた。

玄関の鍵が開く音が響いた。看護学生のあゆかがカフェから帰ってきたのだ。

「光希、お疲れさま」

いつものように明るい声で挨拶する彼女だったが、恋人の様子を見ると表情が変わった。長年連れ添った二人には、言葉にしなくても分かることがある。

「どうしたの?顔色が悪いよ」

「別に、何でもない」

光希は視線を逸らしたが、あゆかは彼の隣に座り、じっと横顔を見つめた。この部屋には、二人だけの時間が流れている。

「光希、嘘でしょ。私、あなたのことなら分かるから」

あゆかの声は優しく、でも確信に満ちていた。光希は苦笑いを浮かべる。

「昔の患者が来てな。ホストをやってた頃の…」

「ああ」

短い返事の中に、あゆかの理解があった。光希のホスト時代のことは、彼女も知っていた。学費のために必死だった光希を、あゆかはずっと見ていたから。

「その人に、色々とされたんだ。金銭的なことも含めて」
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