絆の光は未来へ
「俺…体を売った。学費のために」

ついに、光希は口にした。これまで誰にも言えなかった屈辱を。部屋の空気が重くなる。

「その女性客に何度も求められて、最初は断ったけど…結局、金に負けた。ただ、その女とは最後まではしていない。どうしても無理だったんだ。それでも金は払うと約束して…そして最後は百万円を踏み倒されて、俺が全部背負った」

あゆかの手が、そっと光希の手に重ねられた。

「つらかったね」

その一言で、光希の感情の堤防が決壊した。二人の間に流れる時間が、ゆっくりと変化していく。

「あゆか…。医師になっても、あの時の記憶は消えない。今日、その女性を診察してて、俺は…醜い感情を抱いた」

涙が頬を伝った。あゆかは光希を抱き寄せた。

「あの頃はお義母さんが倒れて、お義父さんも看病してた。あなたは生きるために、私たちの未来のために頑張ったの。恥ずかしいことじゃない。」

光希の顔があゆかの胸に埋まる。彼女の体温が、凍りついた心を溶かしていく。

「でも、俺は…」

「光希」

あゆかは光希の顔を両手で包んだ。
< 186 / 284 >

この作品をシェア

pagetop